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介護離職の抑制、法改正で環境整備が進むも管理職の介護休業利用率は2.7%どまり

高齢者人口の増加で介護を理由にした離職者が増えている。特に働き盛り世代の介護者は、企業の中核を担う管理職として活躍しているケースも多く、介護による離職は社会にとっても大きな損失となる。そこで政府は「介護離職ゼロ」を推進し、必要な介護サービスの確保と、働く環境改善・家族支援を両輪として取り組んでいる。

 現在、介護者が介護休業を取得すると、介護休業開始日前の2年間に一定の勤務日数がある月が12カ月以上あるなど、所定の条件を満たせば「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の介護休業給付が受け取れる。その根拠になっている「育児・介護休業法」が改正され、1月から介護休業が取得しやすくなった。

 改正では、介護の対象家族1名につき通算93日取得可能な介護休業を、3回を上限として分割して取得できるようになったほか、半日単位の取得も可能になった。また、介護休業の範囲内でしか取得できなかったフレックスタイム制度や始業・終業時刻の繰上げ・繰下げなどの所定労働時間の短縮措置が、介護休業とは別に利用が可能になるなど、介護休業を取りやすい環境が整備された。さらに10月からは、職場で介護を理由とした解雇や降格、減給などの不利益な取り扱いが生じないよう、事業所に防止措置義務が新たに加わった。

 このような環境整備が進む中、アデコ株式会社は、家族の介護経験がある管理職600名を対象に、「介護と仕事の両立」についてアンケート調査を実施し、その結果を11月8日に発表した。調査時期は10月。

 介護を理由に会社を休んだことがあるか聞いたところ、67.0%の管理職が「ある」と回答した。そこで、会社を休んだ際に利用した休暇制度を複数回答で聞くと、「有給休暇制度」が88.1%、「介護休暇(対象家族1人につき1年に5日取得できる)」が 15.9%、「介護休業(家族1人につき通算93日を3回まで分割取得できる)」が2.7%、「その他」が2.2%だった。

続いて、介護に関連して利用できる制度を聞くと、「半日単位、時間単位の休暇制度」では63.5%が「利用した」と回答する一方、26.0%が「制度がない」と回答した。また、「遅刻、早退または中抜けなどの柔軟に出退勤できる制度」の利用者は29.2%で、「制度がない」は53.3%、「フレックス勤務制度」の利用者は19.7%で、「制度がない」は63.3%となった。

 介護で休んだ経験がある管理職は6割を超えているが、その多くが有給休暇を利用している。育児・介護休業法が改正されたものの、現場ではまだ活用しづらいようだ。

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