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特養ホームでの適切な医療提供や、医療機関からの訪問看護の評価充実を―日慢協

日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長と安藤高朗副会長は、2018年度の介護報酬改定においての提言を厚生労働省に行う考えを明らかにしました。

同日に厚労省の鈴木康裕医務技監へ提言を行っています。注目される「介護医療院」については、別途、提言をまとめる構え

2018年度の介護報酬改定においての提言要約

・医療機関からの訪問看護の評価充実

・特別養護老人ホームに対する訪問診療制限の緩和

・老人保健施設における医療的処置の評価充実

・要介護度だけでなく「要医療度」をも加味した評価―などを行うべきである—。

要介護度だけでなく、「要医療度」をも加味した評価を検討を

 日慢協の介護報酬改定に向けた提言は、次のように多岐にわたります。武久会長と安藤副会長は、「慢性期医療を提供する施設のほとんどは介護保険サービスも提供している。同時改定に向けて矛盾点などを解消していく必要がある」と提言の趣旨を強調しています。

【全体】 要介護で重症な患者・利用者が増えており、「重症者」の定義づけと適切な報酬体系の構築(要介護度だけでなく、「要医療度」も加味した評価)

【訪問サービス】 (1)島しょ部や山間地域など、訪問に時間・コストがかかる場合の「アクセス加算」(仮称)の創設 (2)利用者と介護者が一緒になって「掃除」や「調理」などを行う【生活援助】の評価(この場合、身体介護と同様に70分以上の評価区分の設定が求められる) (3)訪問リハビリにおける医師のさらなる関与の評価充実(関連記事はこちら) (4)医療機関から行われる訪問看護の評価充実(関連記事はこちら)

【通所サービス】 (1)デイケア(通所リハビリ)において、「医師が必要と認めた場合の3か月超過減算の免除」「リハビリ自体の完全包括評価」「アウトカム評価との組み合わせ」などの検討(関連記事はこちら) (2)介護離職防止をもにらんだ、短期・早朝・夜間におけるデイサービス(通所介護)、デイケアの評価充実

【施設サービス】 (1)介護老人福祉施設(特養ホーム)における入所者が入院した場合の「3か月縛り」の緩和と、適正な報酬上の評価・補填 (2)介護施設入所者の状態および施設側の判断による「訪問診療制限の緩和」など適切な医療提供の評価(関連記事はこちら) (3)在宅復帰に向けた適切な評価(老健施設以外においても) (4)リハビリの充実(老健施設以外においても) (5)老健施設における医療的処置の評価充実(X線検査装置の設置認可、所定疾患施設療養費の評価充実など) (6)摂食嚥下リハビリや口腔清拭に対する評価充実

【地域密着型サービス】  併設医療機関からのサポート体制に対する評価

【居宅介護支援】 (1)医師・看護師・リハビリ専門職など医療系資格を持つケアマネジャーの専従に対する評価 (2)ケアマネジャーによる「医療機関入院中」からの積極的な介入(入退院支援)に対する評価 (3)要介護度の改善における初回加算の見直しと評価充実 (4)特定事業所集中減算の廃止を含めた見直し(関連記事はこちら)

【その他】 (1)25対1医療療養からの介護医療院への転換も見据えた処遇改善加算による評価、介護支援用ロボット、福祉用具の充実 (2)要介護認定の簡素化(一定条件の下での1次判定時からの介護保険サービス開始など) (3)施設間連携を目指したICTシステムの活用(関連記事はこちら)

このうち【訪問サービス】の(2)生活援助について、財務省などからは「給付の適正化」を求める強い意見が出ています。武久会長も、「お手伝いさん」のような生活援助は好ましくないとした上で、「利用者が1人でも掃除・調理などができるよう、利用者と介護者が一体となって行う生活援助の評価を行うべき」と提案。さらに「一緒になって行う掃除・調理などには時間がかかる」ことから、70分以上の評価区分を設けるよう求めています

また【施設サービス】の(1)「3か月縛り」について安藤副会長は、特養ホームの経営安定化、重症者対応の充実などを進めるために「空床におけるレスパイト対応の認可」なども検討するよう求めています。

同じく(2)介護保険施設における医療提供に関して武久会長は、とくに特養ホームについて「看取りを行うよう求められているが、医療の評価は不十分(訪問診療料や再診料などの算定不可など)であり矛盾している」と述べ、抜本的な見直しを求めています。

さらに(5)老健施設における医療提供に関しては、4日の社会保障審議会・介護給付費分科会でも議論された「老健施設におけるX線検査装置の設置」について武久会長が「都道府県に相談すると認めてくれない。しかし老健施設で肺炎治療は行えという。遠方にしか医療機関がない場合、X線撮影のためだけに医療機関を受診させるべきだろうか」と述べ、現行規定の見直しが必要と強く求めています。

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