夜間見守り介護ロボット導入の施設に報酬加算へ
介護の現場で人手不足が深刻化する中、厚生労働省は、夜間に職員を配置した場合の介護報酬の加算について条件を緩和し、いわゆる介護ロボットの1つで、夜間に高齢者を見守るシステムを導入した場合は、配置する職員が基準をやや下回る施設でも対象とする方針を固めました。
介護の現場では体力的な負担が大きいとして仕事を辞める職員が相次いでいて、いかに負担を減らし職場に定着してもらうかが大きな課題となっています。 これについて厚生労働省は、来年4月に行われる介護報酬の改定で、職員の負担を軽減するために夜間の見守りシステムを導入した施設について、介護報酬を加算する条件を緩和する方針を固めました。 新たに対象となるのは、高齢者がベッドから落ちそうになったり、はいかいしたりした場合、センサーが感知して知らせる機器などを入所者数の15%以上の数設置した施設のうち、配置する職員が基準を1割下回る施設です。 一方、高齢者を抱え上げる作業などを手助けする機器は、職員の業務時間の短縮にどこまでつながるか見極めた上で加算の対象にすべきか検討することにしています。 介護労働安定センターの調査によりますと、見守りシステムなどのいわゆる介護ロボットを導入している施設は去年の時点で全体のおよそ2割にとどまり、多くの施設は、予算がないため導入できないとしています。 厚生労働省はこうした方針を来週開かれる審議会で示したうえで加算の金額などを検討することにしています。
見守りシステム導入の施設では
およそ70人の高齢者が入所する千葉県船橋市の特別養護老人ホームでは、去年3月、いわゆる介護ロボットの1つでベッドの上の高齢者の動きをセンサーで感知するシステムを導入しました。 ベッドから起き上がったり、はみ出したりすると、職員が持っている端末のアラームが鳴り、危険を知らせます。 またベッドの上にはカメラが備えつけられていて、職員の端末にシルエットが映し出され、高齢者の動きをその場にいなくても常に把握することができます。 施設によりますと、このシステムが備わったベッドでは、転落事故が起きなくなったほか、夜間の見回りを減らすことができ、職員が巡回を行う時間は平均して1日50分ほど短くなったということです。 一方で、導入費用は1台30万円かかり、購入できたのはまだ7台にとどまっています。 特別養護老人ホーム「オレンジガーデン」の鈴木雅博事務長は「介護ロボットは職員の負担を大幅に減らせるので定着率もあがり、人手不足に悩む介護施設にはますます必要なものになってくる。ただ、高価なものが多く導入しづらいのが課題で、国や自治体の財政的な支援が不可欠だ」と話しています。