53歳で認知症…元サーファーは海で笑顔を取り戻した
仲間たちが見守るなか、ボード上で笑顔をみせる川名賢次さん=4月、神奈川県鎌倉市の材木座海岸
若年認知症になった男性が、若い頃から打ち込んできたサーフィンで笑顔を取り戻した。約7年のブランクを乗り越えて、通い慣れた湘南の海で月1回のペースで再開。仲間たちのサポートを得て、この夏も波乗りに挑む。
介護とわたしたち
神奈川県鎌倉市に住む川名賢次さん(60)が若年アルツハイマー型認知症と診断されたのは、53歳のときだった。市役所で清掃関係の仕事をしていたが、症状が進行。58歳から休職し、3月に定年を迎えた。
サーフィンは20代から始め、国内各地の大会に出場したり、バリ島に波乗りツアーに出かけたり。結婚後も家族を連れて海に通い、2人の息子にも手ほどきをしたが、認知症になって断念。家族も「海は危ない」とあきらめていた。
転機は昨年9月、地元でデイサービスや訪問看護事業所を運営する柴田康弘さん(47)との出会いだった。サーフィン歴が20年以上の柴田さんは、川名さんもサーフィンをやっていたと知り、「一緒にやりませんか」と声をかけた。