日本看護協会(日看協)は10 日、来年4月の介護報酬改定に関する要望書を厚生労働省に提出した。重度者などに対応する訪問看護を病院が行った場合の評価の拡充や、看取りケアに取り組むために夜間勤務の看護師を増やした特別養護老人ホーム(特養)に対する評価などを求めている。
要望書では、24時間365日対応できる安定的な看護の提供に向け、
(1) 訪問看護サービスの安定的供給と迅速な対応体制の整備
(2) 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の整備促進と機能強化
(3) 特養における医療ニーズ対応の機能強化
(4) 介護保険施設における多職種協働による自立支援のケアの評価
(5) 医療ニーズなどを踏まえた適時適切なケアマネジメントの推進
(6) 介護医療院の創設趣旨に即した人員・施設基準の整備
―の実現を要望した。
このうち(1)では、診察後24時間以上が経過してからの死亡について、法医学などに関する一定の教育を受けた看護師による医師への報告があり、ICT(情報通信技術)を活用しているなどの要件に合致した場合、医師の死後診察がなくても死亡診断書の交付を認める新たな仕組みの準備が進められていることに言及。その仕組みが導入され、訪問看護師が医師に所定の情報提供を行った場合、「ターミナルケア情報提供料」として訪問看護ターミナル加算に上乗せして評価することを要望している。
また、現行の機能強化型ステーション並みの体制を整え、重度者などの困難事例に対応できる病院に対しては、訪問看護費を引き上げるべきだとした。そのほか、「訪問看護の緊急時訪問看護加算の評価の引き上げ」や「緊急訪問時の夜間・早朝加算及び深夜加算の『1月以内の2回目以降』の要件撤廃」などを求めている。
(2)の看多機に関しては、拠点を増やすためにサテライト型の新設を求めた。2017年度末に期限を迎える「事業開始時支援加算」については21年度までの延長を要望。さらに訪問介護員を多く配置することで、生活支援に力を入れる事業所を評価する「訪問介護体制強化加算」の新設などを求めている。
(3)の特養では、重度要介護者の受け入れや施設内での看取りを積極的に実施するため夜間に勤務する看護師を増やしている特養への評価や、外部の看護師が特養のスタッフに医療的ケアを助言・指導した場合への評価を求めた。